家での暮らし
1990年代

ウッドフロアのとても広い部屋。柱が見える。キャスター付きの低いコーヒーテーブル、ソファ、アームチェア、シェーズロング2脚。
ウッドフロアのとても広い部屋。柱が見える。キャスター付きの低いコーヒーテーブル、ソファ、アームチェア、シェーズロング2脚。
画像はIKEAカタログ1996年版より。

1990年代は深刻な不況とともに始まり、再び日々のベーシックな暮らしに注目が集まります。ホームファニッシングでは、1980年代の大袈裟なまでの贅沢さに代わり、ミニマルな機能性が好まれるようになります。今では、ステータスを追求するよりも、家の機能や雰囲気の方がずっと大切です。そのほうがお金もかけずにすみますしね。

当時のインテリアデザインの記事は、「スウェーデンのライフスタイル」と見なされる側面に焦点を当て、無駄が削ぎ落とされた機能的な家をスタイルのお手本として紹介するものが多く見られます。まさに、イケアが持つイメージそのものです。この頃のデザインは、地元の環境から見てサステナブルな素材を使った伝統的な職人技術を取り入れたものが多く、パイン材やバーチ材のような軽い木材が主流です。部屋のカラースキームはモダンなホワイトを基調に、レッド、ブルー、イエロー、グリーンといった素朴な色を加えていきます。

ライトウッドキッチン。オーブン、キャビネット、自立式モジュールのアイランドキッチン。白タイルの壁、ステンレススチールの装飾。
本棚の横に頑丈でシンプルなスタイルの赤いソファベッドが置かれている。近くには同様のデザインの丸くて軽いスツールがある。
ライトウッドフローリングの明るいキッチンに置かれた家具。伸長式ダイニングテーブル、ダークトーンの座面のチェアが並んでいる。
中身の詰まったライトウッドの大きなIVAR/イーヴァル コンビネーションが部屋の間仕切りとして使われている。
ミニマリズム、そしてライトな印象の北欧家具への憧れが、小型で機能的なデザインとなって復活しました。画像はIKEAカタログより:画像1. 1999年、画像2. 1997年、画像3. 1999年、画像4. 1998年。

不況のあおりを受けて、現実からの安全な避難所としての家の価値は大きく高まります。繭のように家に閉じこもることを表す「コクーニング」という言葉が生まれるほどです。イケアのお客さまの多くが過ごした1980年代の慌ただしいナイトライフは、ビデオを見ながら持ち帰りの食事を楽しむような、家族とのんびり過ごす時間へと変わっていきます。発展を続ける世界の各都市で住居費が高騰し、居住スペースがどんどん小さくなる中、「コンパクトな暮らし」は必要不可欠な考え方になっていきます。

広いリビングルームに様々な色のソファとアームチェアが並び、収納とガラス製のテーブルトップ付きコーヒーテーブルを囲んでいる。
わが家にまさるところなし!世界情勢が不穏に感じられるほど、家が持つ安心感の価値はより高まります。地元の素材と優れたデザインが、家のインテリアの中でひときわ存在感を放ちます。画像はIKEAカタログ1997年版より。

イケアは、一人暮らしや子どものいる家族向けに、独創的で効果的なソリューションを提供しました。IKEAカタログの20ページ以上を子ども部屋に割き、イケアストアには「子どものイケア」売り場を設置しました。医師や教育の専門家といった子どもの専門家、そしてもちろん世界中の家族の意見を取り入れて開発した独自の製品コレクションが並びます。子どもたちは今や、自分の家の中に、子どものニーズに合わせて作られた専用の居場所を持つようになったのです。

中身が詰まったライトウッドのIVAR/イーヴァル コンビネーションが壁一面に置かれたリビングルーム。子どもが横で遊んでいる。
ロフトベッドの下にワークスペースがある部屋。壁に固定された本棚、ソファベッド、キッチンに通じる通路がある。
ふっくらしたスタイルのカラフルなMAMMUT/マンムット シリーズの家具。床におもちゃ。ライトウッドのフロア、壁、傾斜天井。
ライトウッドの階段下、風通しのよいスペースに、階段状に組まれたカラフルな引き出し付きのライトウッドの収納家具が置かれている。
「世界で一番大切な存在」である子どもたちのために、イケアは遊びと収納を組み合わせた実用的な家具を開発。体力づくりと運動能力の向上を促進します。家の室内環境を子どもたちに合わせて整えることが当たり前になりました。画像はIKEAカタログより:画像1. 1999年、画像2. 1996年、画像3. 1994年、画像4. 1998年。

快適で、機能的で、派手すぎず、肌触りがよく、気軽に洗濯できる。そんなカバー付きの家具の需要はどんどん高まっていきます。コンテンポラリーデザインでは、強く人を惹きつけるセンスと低価格が両立しています。モダンでシンプルかつフレッシュ。ミニマリズムの美学とともに、田舎風のノスタルジックなスタイルが花開きます。

白一色のモダンで素朴なスタイルの家具VISDALEN/ヴィスダーレン シリーズが揃う寝室で、チェアの上に立ち外を眺める少女。
白いキャビネットとライトウッドのワークトップがあるキッチン。シンク横に女性が立ち、ダイニングテーブルに焼きたてのパイが並ぶ。
ベッドルーム。大キャノピー付フレームのダブルベッド。家具はすべてヴィンテージ風のMORGONDAL/モルゲダール シリーズ。
1990年代には、1970年代のがっしりとしたパイン材の家具に代わり、人々にモダンな印象とノスタルジックな雰囲気の両方を感じさせる、より軽快な田舎風のスタイルが登場しました。画像はIKEAカタログより:画像1. 1999年、画像2. 1999年、画像3. 1997年。

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