家での暮らし
1980年代

光沢ある黒い床。黒いMOMENT/モーメント ソファと細いメタルフレームのカラフルなMOMENT/モーメント シェルフ。
光沢ある黒い床。黒いMOMENT/モーメント ソファと細いメタルフレームのカラフルなMOMENT/モーメント シェルフ。
画像はIKEAカタログ1985年版より。

多くの人にとって、1980年代は楽観的かつ軽薄な時代でした。株式市場の熱狂的な活気や大きな肩パッドが、人々の自信を表していました。カラフルでキッチュなポストモダンのスタイルと、高級素材を使ったエレガントな家具が混在していました。当時は見た目こそすべてであり、見ることと見られることの両方が重要視されていたのです。

家は成功や社会的地位への憧れを映し出す場所になりました。リビングルームが再び贅沢な応接室になることもありました。ゆったりとした革張りのソファが置かれ、当時のステータスシンボルだったステレオシステムを置くスペースを備えるようになります。テレビからは、アメリカの富裕層が幸せそうに暮らす番組が流れ、照明に照らされたガラスのショーケースの中には、オーナメントやディナー用の食器類一式が並びます。

明るい出窓の部屋。STOCKHOLM/ストックホルム シリーズの白い楕円形ダイニングテーブル、異なる種類のスピンドルチェア。
ベッドルーム、白い家具と装飾。高ヘッドボードのSTOCKHOLM/ストックホルム ダブルベッドとライトブルーのベッドリネン。
フロアランプと背の高いガラス扉のキャビネット、明るい色の植物柄で軽やかなSTOCKHOLM/ストックホルム アームチェア。
ダイニングルーム。赤茶基調STOCKHOLM/ストックホルム シリーズの広くエレガントなダイニングテーブルとチェア、柄ラグ。
STOCKHOLM/ストックホルム コレクションでは、機能的で美しい日用品の中で伝統と未来が融合しています。イケアは真のクラフトマンシップに支えられた高品質の家具により、手頃な価格でエレガンスを提供したいと考えました。画像はIKEAカタログより:画像1. 1989年、画像2. 1989年、画像3. 1989年、画像4. 1989年。

1970年代に自由奔放なDIYと堅実な日々の暮らしを謳歌した人々は、今までは抑えていたラグジュアリーとエレガンスへの憧れを日に日に募らせるようになりました。クリスタルのグラスが置かれたディナーテーブルに、贅沢なカーテンで縁取られた窓。この頃イケアが発表したSTOCKHOLM/ストックホルム コレクションは、上質な素材を使った高品質の製品です。クラシックな北欧スタイルは、自由奔放な青春時代を卒業して、大人としての新たな暮らしを求めるお客さまの心を掴みました。

黒と緑のLEXBY/レーケビュ シリーズのモジュール式ソファをコーナーソファにアレンジした明るい部屋。カラフルな柄の布地。
三角形や円のような幾何学的な形と、はっきりと目立つ原色を基調としたデザインは、遊び心にあふれた新たな楽しさを生み出します。これらの製品は、イタリアのデザイナー集団メンフィスに代表されるポストモダンのスタイルからインスピレーションを得ています。画像はIKEAカタログ1986年版より。

一方で、遊び心あふれる、イケアとの相性も抜群のポストモダンなデザインに惹かれる人々もいました。スチール製の家具や塗装された表面に見られるハイテクの影響が、愉快でカラフルな生地とうまく溶け合っています。この大胆で表情豊かなスタイルのもと、イケアはLACK/ラック テーブルや、ロングランで長く愛され続けるベストセラー、ソフトなフォルムが特徴のKLIPPAN/クリッパン ソファなど、シンプルかつスタイリッシュな家具を生み出していきます。

フロアパネルを使ったリビングルーム。茶の革張りの長いコーナーソファがある。横にクロム仕上げのメタルと黒い革張りのチェア2脚。
白い部屋、白く膨らんだLIPPAN/クリッパン ソファ。ライトウッドのLACK/ラック コーヒーテーブルとウォールシェルフ。
ダイニングテーブル横のスピンドルチェアと黒いディテール、入り口のバナナ柄カーテンを除き、白で統一されたキッチン。
1980年代には、あらゆる方向性のトレンドが生まれました!1970年代の先進的で型破りな「ノンデザイン」スタイルの後、今では多くの人がより落ち着いた雰囲気の家を求めています。リビングルームは再び優雅な応接室となります。人々は自分の自慢の品々を誇らしげに見せたがり、友人を招いてドリンクやスナックを楽しむようになります。画像はIKEAカタログより:画像1. 1988年、画像2. 1985年、画像3. 1986年。

1980年代におけるイケアの商品展開を見ると、さまざまなスタイルやテイストがミックスされていることがわかります。トレンドは瞬く間に広まり、時には供給が追いつかなくなることもありました。あらゆる方面に手を広げ過ぎた結果、商品展開が急速に拡大し、フラットパックのネジが足りなくなったり、人気商品が在庫切れになってしまったりと、胃が痛くなるような問題が生じました。

明るい部屋。チェックの床、黄色と白のストライプの壁紙、BOJ/ボイ シリーズの収納家具、白地に黄色のディテール。
白基調の10代若者の部屋、床はライトウッド。KVARNVIK/クヴァルンヴィーク ベッド、クロム仕上げメタルフレームの本棚。
端正な作りのMALM/マルム 2段ベッドがある子ども部屋。その他家具とディテールはピンク、黄色、白で統一されている。
REKDAL/レクダル 2段ベッドとライトウッドフローリングの明るい子ども部屋。散らばるおもちゃと白いBOJ/ボイ デスク。
ゆったりとくつろげる幅広のベッド、スチールパイプ製の家具、そしてクールなグラフィックは、明るい色や遊び心に満ちた形にあふれた若者の部屋にぴったりです。画像はIKEAカタログより:画像1. 1984年、画像2. 1988年、画像3. 1988年、画像4. 1989年。

1980年代をジェットコースターのように走り抜けたスウェーデン。その栄光の日々は、見えざる手による株式市場の暴落で終わりを迎えます。社会格差は拡大し、多くの若者が過剰で贅沢な消費活動に抵抗を始めます。来る次の10年には、再び大きな変革が訪れるでしょう。

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